徳島県小児科医会 日浦恭一
インフルエンザは毎年冬に流行します。昨年の新型インフルエンザは初夏から始まって10月から11月にピークを迎えました。今年はまだ昨年のような爆発的な流行は見られません。各地で発生しているインフルエンザも散発的なものが多いようです。
今年のインフルエンザは昨年流行した新型インフルエンザに加えてA香港型やB型も検出されています。Aソ連型は新型インフルエンザにとって代わられたようです。
そこで今年のインフルエンザワクチンですが、新型、A香港型、B型の3種類のウィルス型が含まれています。
ワクチンは血液中の抗体を産生するのには大変有効なワクチンです。ワクチンはウィルス表面のHA抗原に反応してIgG抗体を産生します。IgG抗体は侵入したウィルスを中和して重症化を防ぐものです。
しかし現在のワクチンでは鼻やのどの粘膜にあってウィルスの侵入を阻止するIgA抗体を産生することはできません。したがってウィルスがのどや鼻から侵入して感染を起こすことを防ぐことはできません。
ワクチン接種に対して成人では抗体が速やかに上昇して、この抗体は約5カ月間持続します。子どもはワクチンに対する反応が悪いために2回接種します。昨年、新型インフルエンザに罹った人でも免疫は低下しています。さらに新型だけでなくA香港型やB型も流行する可能性がありますからワクチンを接種する必要があるのです。
徳島新聞2010年12月22日掲載