徳島県小児科医会 日浦恭一
インフルエンザは高熱、のどの痛み、せき、鼻みず、頭痛、倦怠感などの他、嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状も示す症状の強いウィルス感染症です。一般の感冒と違う点は伝染力が強いこと、症状が多彩で強いこと、合併症が多いことなどです。高齢者や乳幼児がかかると肺炎などの呼吸器系の合併症や脱水症を起こしやすく、小児では脳炎、脳症などの神経系の合併症も見られます。
インフルエンザの潜伏期間は1~3日です。ウィルスはのどや鼻の粘膜から侵入して粘膜細胞で増殖して、細胞から排出される時にその細胞を破壊して強い臨床症状を現します。
インフルエンザの感染様式は飛沫感染です。せきやくしゃみによって周囲にまき散らされます。鼻みずや痰に混じってウィルスが排出されますから、これらからの接触感染もあります。また寒い乾燥した部屋などでは飛沫核で空気感染することもあると言われます。
インフルエンザの基本的な症状は新型インフルエンザも香港A型など他の季節性インフルエンザも同じですが、その症状の程度は新型の方が軽い印象を受けます。
しかし新型インフルエンザも基礎疾患のある人や小児では重い合併症を示すことがあります。とくに喘息を持つ小児では喘息発作の重症化や肺炎などの合併症が報告されています。また小児では脳炎・脳症などの報告も見られ、昨年の新型インフルエンザが決して軽症であったとは考えられません。
徳島新聞2010年12月15日掲載