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徳島県小児科医会 日浦恭一

 夏かぜの代表的な疾患であるプール熱はアデノウィルスを原因とする感染症です。プール熱は発熱、咽頭炎、結膜炎を特徴として咽頭結膜熱と呼ばれます。ウィルスで汚染された水から伝染することからプール熱とも呼ばれます。

 アデノウィルスによって引き起こされる疾患には咽頭炎、結膜炎、肺炎、胃腸炎、膀胱炎、脳炎などがあり、全身の臓器に及びます。アデノウィルスは血清型によって約50種類に分類されており、その型によって発生する疾患が異なります。

 アデノウィルスは飛沫、接触、糞口感染を起こします。侵入経路は鼻、のど、結膜などの粘膜から直接侵入します。したがってプールの水がウィルスで汚染されると、水を介して広く伝染しますから大流行になることがあります。また消化管からは長くウィルスが排出されますから流行が長引く原因になります。

 アデノウィルスを原因とする疾患の中で咽頭炎や扁桃炎は細菌感染との区別が大切です。白血球数やCRPなどの血液検査ではアデノウィルスと細菌感染の区別は出来ません。

 アデノウィルスの迅速検査キットが簡便に使用できますから鑑別には便利です。アデノウィルスによる咽頭炎や扁桃炎の発熱は長く続くことがあります。きちんと鑑別をすることで不必要な抗菌剤の使用を減らすことができます。

徳島新聞2010年7月21日掲載

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