徳島県小児科医会 日浦恭一
低身長について検査や治療を受ける場合にはできるだけ早期に行うことが大切です。これは低身長の原因には成長ホルモン分泌不全などの内分泌疾患だけでなく非内分泌疾患による低身長が多く含まれているからです。
非内分泌疾患の中には染色体異常などの先天異常や奇形症候群、胎内感染などが含まれています。さらに骨系統疾患やクル病、先天代謝異常、他の慢性疾患などを原因とする低身長が含まれていますから早い時期にこれらを鑑別しておく必要があります。
低身長の診断時には、家族歴、在胎週数、胎位、分娩様式、新生児マススクリーニングの結果、新生児仮死や低血糖および重症黄疸の有無、精神運動発達、慢性疾患の有無、長期服用薬剤の有無を確認しておきます。
成長ホルモンの分泌不全による低身長はそれほど多くありません。しかし最も成長ホルモン投与による身長の伸びが期待できる疾患ですから、これが疑われる場合には出来るだけ早期に専門医を受診します。
成長ホルモンの検査には薬剤を投与して分泌される成長ホルモン量を測定する負荷試験を行います。2種類以上の負荷試験で成長ホルモンの分泌が悪い場合に成長ホルモンの使用が許可されます。成長ホルモンの使用は毎日注射で行うもので、その費用も高額です。患者さん本人はもとより家族の負担も大きなものですから手軽に行う訳にはいきません。
徳島新聞2010年6月23日掲載