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徳島県小児科医会 日浦恭一

 身長が低いことは社会的に不利益を被ることがあり、身長の低い子どもを持つ両親の悩みはつきません。

 低身長の原因を探るためには成長曲線を描くことから始めます。しかし成長ホルモン分泌不全のような内分泌疾患の頻度はそれ程高くありません。大部分の低身長は体質性低身長などの原因不明の低身長で、両親の身長が低い場合などの遺伝的な要因によるものが多いものです。

 昔のように栄養状態が悪いと身長の伸びは悪くなります。時代とともに社会が安定し経済的に豊かになり、栄養状態が改善されると毎年、子どもの身長は両親の身長を上回って伸びるようになります。その結果、現在日本人の最終身長はほぼ一定の水準に達しましたから、子どもが両親の身長を大きく上回って伸びる可能性は期待できなくなります。

 成長曲線や両親の身長から最終身長を予測し、この値から大きくかけ離れて低い場合には専門医を受診することが必要でとなります。

 身長は思春期に最も大きく伸びますが、思春期になれば早い時期に身長の伸びは停止します。思春期に入る時期が早ければそれだけ早く身長は停止します。低身長の検査や治療を考える場合には思春期までにできるだけ身長を伸ばしておくことを考慮して早期に行います。

徳島新聞2010年6月16日掲載

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