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徳島県小児科医会 日浦恭一

 身長が低いことは多くの人にとって悩みの種です。ただ身長には個人差がありますから悩みの程度にも差があります。一般に低身長とは同じ年齢で同じ性別の平均身長から標準偏差の2倍以上低い場合と定義されます。この定義に当てはまる低身長は統計的には100人中に1人か2人しか居ません。したがって低身長で悩んでいる人の多くは正常範囲か境界線上で悩んでいる人が多いと言えます。

 子どもの身長が低いことで医療機関に相談する時、最も大切なのは成長の記録です。母子手帳など健診の記録があれば持参しましょう。小児科医は子どもの記録を元に成長曲線を作成します。その子の成長曲線と標準の成長曲線を比較することで、現在の身長が平均値とどのくらい離れているか、いつから離れてきたのかを判断します。身長が標準偏差の2倍以上離れて小さい場合には成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどを測定し、検査を進めていく必要があります。

 また成長曲線を描くことで、年間の身長の伸び率を測定することが大切です。身長が標準内にあっても、身長の伸び率が急速に低下している時には、何かこれまでになかった病気が発生している可能性があります。

 低身長で悩む場合には、まず成長記録から成長曲線を作成してみることです。思わぬ病気発見の手がかりになることがあります。

徳島新聞2010年6月9日掲載

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