徳島県小児科医会 日浦恭一
子宮頸がんが若い人に増えています。女性特有のがんの中では死亡原因の第2位です。このがん組織からヒトパピローマウィルス(HPV)が検出されたことより、子宮頸がんの原因はHPV感染であることが明らかになりました。今月は子どもだけでなくその母親にも関係の深いHPV感染症とその予防についてお話します。
子宮頸がんは日本では毎年15,000人がかかり、約3,000人が死亡すると言われます。全世界では毎年50万人の患者発生で26万人が死亡するとされます。
HPVには遺伝子型によって100種類以上の型があり、その中で40種類ががんの発生に関係しており、16型が最も多く次いで18型が多いとされます。昨年12月から16型と18型HPVに有効なワクチンの使用が可能になりました。このワクチンを接種すれば子宮頸がんの70%は予防できると言われます。
HPVは性交渉を通して子宮頸部の基底細胞に感染します。多くのHPVは自然に排泄されて子宮頸部の基底細胞は正常に回復します。しかし一部はHPVが持続感染し、基底細胞に異常が発生します。その異常が進行すると前がん病変となります。さらに数年から十数年かけて一部ががん細胞に変化するのです。
HPV感染の前にワクチンを接種して、HPV感染を防ぎ、子宮頸がんを予防することが大切です。
徳島新聞2010年5月12日掲載