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 暑い夏には子どもは簡単に熱中症になります。とくに乳幼児の事故として熱中症が発生することがあります。熱い夏には熱中症がいつ発生してもおかしくはないことを頭において予防に努めることが大切です。

 熱中症の中でもっとも重いのが熱射病です。熱射病では大量の発汗による著しい脱水症が起こります。さらにからだに加わった高熱の負担が、熱を発散して体温を調節する機能を上回ると体温が異常に上昇し、これが体温調節中枢を障害します。

 組織内の異常な高温、脱水症、尿量の減少、循環血液量の減少、組織酸素消費量の増加、代謝異常などの病状が急速に進行することによって中枢神経、血液、肝臓、腎臓など多くの臓器が障害を受けます。

 熱射病の症状としては40度以上の高熱、発汗の停止、中枢神経症状の3つが特徴です。

 中枢神経症状としてはけいれんや意識障害が見られ、生命の危険はもちろん、中枢神経系の後遺症を残すこともあります。

 熱中症の発生を予防するには高温環境を避けることが大切です。乳幼児は高温環境では短時間でも簡単に熱中症を起こすことがあります。とくに炎天下の車の中は思わぬ高温になっていることがあります。子どもだけを車の中に残して大人が車を離れることは大変危険なことになります。

 熱中症の初期には大量の発汗が見られます。汗には水分だけでなく電解質も含まれますから、大量の発汗による熱中症の予防には水分とともに電解質を補給することが大切です。水分だけを大量に与えると電解質不足による低張性脱水となることがあります。

 発汗して体温調節することは大切な生理機能です。体温調節機能は乳児期に暑いときに汗をかいて体温を下げることを経験して発達します。熱中症を恐れるあまりエアコンの効いた涼しい環境ばかりで育てられた子どもたちは体温調節機能の発達が未熟です。必要以上に過保護にならないようにしたいものです。

徳島新聞2009年6月24日掲載

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