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 小児は体温調節機能が未熟な上に、体水分の出入りも激しく、高温環境下では簡単に熱中症になることがあります。

 熱中症はその重症度によって、もっとも軽い熱けいれんや熱失神、中等症の熱疲労、もっとも重症の熱射病に分類されます。

 子どもの置かれた状態から熱中症を疑うことはそれ程難しいことではありませんが、その初期には同じような症状ですから重症度を正確に区別できないこともあります。熱中症を見た場合にその重症度を的確に判断することが難しければ厳重な経過観察が必要です。

 熱けいれんはもっとも軽症で、高温環境下で長時間の運動によって起こる短時間の痛みをともなうけいれんです。多くはふくらはぎに起こり、こむら返りと言われるものです。軽い体温の上昇を認めることはありますが、意識障害など中枢神経症状が見られることはありません。

 熱失神は日射病とも言われ、めまいや一時的な失神が見られ、顔面蒼白、脈は速くて弱く、呼吸数は増加し、口唇のしびれなどを訴えます。これは長時間、直射日光に暴露されることによって皮膚の血管が拡張して血圧が低下することによって脳血流が減少し、起立性低血圧と同様の症状が発生するものです。

 熱疲労は中等症です。高温多湿の環境下で激しい労働や運動をすると大量の発汗による脱水と、温熱による皮膚血管の拡張と運動にともなう筋肉への血流の増加による循環血液量の減少が加わって循環不全を起こします。

 熱疲労では大量の発汗があり、皮膚は蒼白で冷たく湿っています。脱力、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気、筋肉痛を訴えます。脈拍は速くて弱く、呼吸は速くて浅くなります。

 熱疲労は治療に反応しやすく改善しやすいものですが、治療の遅れで熱射病に移行することがありますから厳重な経過観察が必要です。

徳島新聞2009年6月17日掲載

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