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 暑くなると子どもが車の中に閉じ込められて熱中症を起こす事故が見られるようになります。子どもはからだが小さいために日本の夏のように熱くて湿度の高い環境では簡単に熱中症を起こすことがあります。今月は熱射病・熱中症について考えてみました。

 大人で熱中症と言えば高温多湿の環境で発生する労働災害を思わせますが、子どもでは真夏の学校でのスポーツや、炎天下の駐車場で車に閉じ込められた乳幼児の事故などで経験することがあります。これらの事故は適切な対応で予防可能なものです。

 熱中症が起こるのは高温環境下での体温調節がうまくできないためです。人間のからだは体温が上昇しすぎると発汗してその水分が蒸発するときに体表面の温度を下げます。このような発汗による体温調節機能がうまく働かないときに体内の生理機能に異常が発生します。これが熱中症と呼ばれるものです。

 熱中症は重症度によっていくつかのタイプに分類されます。軽症には熱けいれんと熱失神、中等症には熱疲労があり、もっとも重症なものが熱射病です。

 もっとも重い熱射病になると、体温調節機能が破綻しますから自分の体温を適切に調節することができなくなります。40度以上の異常な高体温や、循環不全が重なることによって全身の臓器障害が発生します。

 重症の熱中症では適切な病型を判断して早期に治療がなされなければ生命に危険がおよぶ可能性が高くなります。

 小児が熱中症になりやすいのは成人に比べて新陳代謝が活発で熱産生量が多いこと、発汗能力が弱く体温調節機能が未熟であること、体内の水分の割合が多く、水分の出入りが激しいこと、体表面積が大きく環境温度の影響を受けやすいことなどが上げられます。

 小児は高温環境では簡単に熱中症になりやすいことを知っておくことが大切です。

徳島新聞2009年6月10日掲載

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