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ひうら小児科 日浦恭一

 嘔吐下痢症はウィルス感染による胃腸炎です。原因ウィルスとしてロタウィルスとノロウィルスがよく知られています。伝染力が強いので集団生活の場で一人でも患者さんが発生すると次々伝染して大問題になります。今月はロタウィルスとノロウィルスによる胃腸炎について考えてみました。

 ウィルス性胃腸炎にはよく見られる症状が3つあります。嘔吐と発熱と下痢の3症状です。3つがすべてそろっていることもあれば嘔吐と下痢だけとか、下痢と発熱だけとかのように3症状がそろっていないこともありますから、嘔吐下痢症と言う病名は当てはまらない場合があります。そこで適切な病名はウィルス性胃腸炎または感染性胃腸炎となります。

 潜伏期間はロタウィルスで2~3日、ノロウィルスでは1~2日と短いものです。ウィルス性胃腸炎の中でロタウィルスは乳幼児期に、ノロウィルスは乳幼児から老人までどの年齢層にも見られます。

 ウィルスの主な感染経路は糞便中のウィルスから経口的に感染するものです。患者の糞便中には大量のウィルスが含まれます。このウィルスに汚染された食物を摂取すると食中毒として発病します。またウィルスに汚染された衣服や手指によって人から人へ感染することもあります。また吐物の中に含まれるウィルスが空気中を漂うことで空気感染することもあります。

 これらのウィルスは伝染力が強いので集団内での感染予防が重要です。学校、幼稚園、保育園、老人の介護施設、病院などでウィルス性胃腸炎が一人でも発生すると次々患者さんが発生することになります。とくに家族、医療従事者、保育者などを介して伝染することがありますから、これらの子ども、老人、病人に接触する人は感染予防に注意する必要があります。

徳島新聞2009年4月8日掲載

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