徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 私たち人類の歴史は感染症との闘いの歴史であったと言っても過言ではありません。昔は感染症によって多くの生命が失われてきましたが、社会の安定と経済発展のおかげで環境の衛生状態が整備され、栄養状態の改善、抗菌剤や予防接種の発達によって多くの感染症が克服されてきました。

 感染症を克服する手段のひとつが予防接種です。予防接種によって多くの子どもたちの生命が救われてきました。日本のように衛生的で栄養状態の良い地域に暮らしていると、健康がどうやって守られているのかを忘れてしまうことがあります。今月は私たちの健康を守ってくれている大切な予防接種の基本について考えてみました。

 初めて予防接種が実用化されたのは種痘です。約200年前にジェンナーによって天然痘に対する予防接種である種痘が実用化されました。その後、種痘は短い期間で世界中に普及して、20世紀後半には天然痘の撲滅宣言が出されました。

 このように種痘は効果の点では大変すぐれた予防接種でしたが、大変重篤な副作用を持っていました。種痘の副作用によって生命を落とした人や、現在もその後遺症に苦しんでいる人たちが居ます。予防接種による副作用の問題は避けて通れないものなのです。

 予防接種の副作用については個々の予防接種によってその現れ方が異なります。副作用を恐れる余り効果の少ない予防接種を行ったのでは本来の疾病予防という目的を達成することができません。重篤な副反応のある予防接種はいくら効果が大きくても健康な子どもたちに接種することはできません。

 納得できる範囲内の副作用で効果の大きい予防接種が理想的な予防接種です。現在使用されている予防接種の中には副作用のために使用できないようなものはありません。予防接種の意義を理解して、積極的に予防接種を行うことで子どもたちの健康を守りたいものです。

2009年1月14日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.