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 麻疹は従来子どもの病気と考えられていました。しかし最近、麻疹の多くが高校生や大学生に発生しています。なぜ麻疹が高校生や大学生に発生しているのでしょうか。今月は麻疹の問題点について考えてみました。

 麻疹は麻疹ウィルスに接触してから10~12日後に38~39度の発熱と、鼻水、激しい乾いた咳、結膜炎などのカタル症状と呼ばれる症状で発病します(カタル期)。発病後3日くらいで一時熱が下がりかけますが、その頃に頬っぺた内側の粘膜にコプリック斑と呼ばれる白い斑点が出現します。その後再び高熱となり全身に発疹が出現します(発疹期)。嘔吐や下痢などの消化器症状をともなうこともあります。発熱は高熱で発疹出現後3~4日で下がります。発疹は紅斑で耳や首の後ろから出現し、全身に広がります。発疹は褐色の色素沈着を残して解熱後もしばらく残ります(回復期)。

 麻疹には肺炎や脳炎、中耳炎などの合併症が多く見られます。これは麻疹にかかると全身の抵抗力が低下するためです。したがって元々体力や抵抗力の弱い乳幼児が麻疹にかかると脱水症や肺炎などの合併症で輸液や入院治療が必要となることがあります。

 また基礎疾患のある子どもにとっては致命的な症状をひき起こすこともあります。

 麻疹は誰でもかかる可能性のある病気ですが、誰もが無事に治るとは限らないのです。

 麻疹の伝染力は感染症の中でもっとも強いもので、空気感染します。麻疹に抵抗力のない人は接触すれば100%感染し、感染すれば必ず発病します。他のウィルス感染症のように不顕性感染はありません。

 麻疹の伝染力がもっとも強いのはカタル期ですが、発病1日前から解熱後3日間くらいは伝染力があります。もし麻疹患者が発生すれば十分な期間、患者を隔離して麻疹の蔓延を防ぐ必要があります。

2008年10月8日掲載

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