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県民の皆さまへ

 私たちは注意を集中することによって特定の刺激を認識することができます。私たちを取り巻く環境からは多くの刺激が発生しています。この多くの刺激の中で自分に役立つ刺激や危険を知らせる刺激、大きな刺激、変化する刺激に対しては自動的に注意が向けられます。

 しかし特徴のない刺激に対して、注意は向きにくく、そのような刺激に注意を集中し続けるには相当強い意識的な努力が必要となります。興味のない授業に注意を集中し続けるのは誰にとっても困難なものです。

 不注意とは注意を集中する機能が低下した状態です。不注意には、刺激に反応しない、ぼんやりしている、人の話を聞いていない、よく忘れ物をする、課題や作業にケアレスミスが多い、気が散りやすいなどがあります。

 注意欠陥多動性障害の子どもは自分の興味があるものに対しては過度に注意を集中させますが、社会生活上で必要な注意を働かせたり、注意を持続させたりすることには困難をともないます。

 環境刺激の少ない所で1対1の場面では注意が集中できますが、刺激の多い環境や集団の場面では注意集中が困難になります。

 注意欠陥多動性障害の原因には、脳の機能異常や脳損傷などが考えられていますが、いまだに明らかな原因は不明です。遺伝的には親子で同じような症状を示す場合がありますから、原因に遺伝的な要因が関与している可能性はあります。

 不注意や多動、衝動性といった症状を見て、親の育て方が悪いとか教育が悪いと言って両親を非難する人がありますが、育て方や教育が悪くて本症になる訳ではありません。脳の機能障害のために起こった症状ですから、抑制が効かず、指示が入りにくい状態になっているのです。正しい診断、医学的な治療、教育的な配慮が求められます。

2008年9月24日掲載

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