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県民の皆さまへ

 子どもの中には動き回ったり走り回ったりして、少しもじっとしていない落ち着きのない子どもがいます。教室や静かにしていなければいけない場所で立ち上がって走り回り、抑制しようと思っても抑制が利かなくなります。またこのような子どもの中には知的には問題がないのに成績が振るわない子どもや、不器用な子どもがいます。

 今月はこのような多動を主症状とする疾患について考えてみました。

 昔は、多動や不注意に学習困難や不器用さを示す子どもに微細脳機能障害とか微細脳損傷という診断がつけられてきました。このような子どもたちには脳神経系に異常があることが疑われるにもかかわらず、脳波や脳CTなどではなかなか異常が見つからなかったので、診断に困ったあげく、このような診断名がつけられたのです。

 したがってこのような診断名をつけられた子どもたちの中には多くの異なる疾患を含んでいた可能性があります。そのため、同じ診断名でも必ずしも同じ取り扱いや同じ治療法が有効であるとは限りませんでした。

 そこで最近は不注意や多動・衝動性を主症状とする疾患を注意欠陥多動性障害と分類して、他の発達障害と区別して取り扱うようになったのです。

 注意欠陥多動性障害は不注意優勢型多動性・衝動性優勢型この2つの混合型の3グループに分けられます。

 子どもは本来元気で走り回っているものです。とくに幼児期早期にはこれが子どもの特徴と考えられます。しかし小学校など集団生活の中でいつまでも走り回っている子どもの中には自分で抑制の効かない多動が見られることがあります。このような多動は本人にとっても周囲の人たちにとっても大変不利な症状です。正確な診断つけて治療の機会を与えることが必要です。

2008年9月10日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.