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 アナフィラキシーはアレルギー疾患の中でもっとも緊急に診断や処置が求められるものです。とくに集団生活の中でアナフィラキシーが発生した場合には、どれだけ早く適切な対応ができるかどうかが救命の分かれ目になります。

 アナフィラキシーの対応でもっとも大切なのは予防です。原因食物が判明している場合には、その原因食物を除去することで予防することが可能です。以前に特定の食物を摂取してアナフィラキシー症状を経験していれば、原因食物を推定することができます。

 しかし集団生活の中で大勢の子どもたちに食事を提供するときにアナフィラキシーを完全に予防することは難しい場合があります。原因食物の除去を指導していても誤って食べてしまう事故が起こることがあります。また原因食物が特定されていない場合もあって完全な予防は難しいものです。

 さらに特殊なタイプのアナフィラキシーとして食物依存性運動誘発アナフィラキシーと言う疾患があります。

 これは原因食物を摂取しただけでは症状が出ないのに、原因食物を摂取した後に運動をするとアナフィラキシー症状が出るものです。これを食物依存性運動誘発アナフィラキシーと言います。

 この疾患は中学生や高校生に比較的多く見られますから、昼食後の休憩時間や午後の体育の時間に発生することがあります。

 原因食物も乳幼児期に見られる食物アレルギーの原因である鶏卵や牛乳は少なくなり、小麦や日本ソバ、甲殻類、魚類、果物、ナッツ類などが多くなります。

 症状はアナフィラキシー症状ですが、原因食物の摂取だけ、または運動だけでは症状は見られませんから診断が難しい訳です。

 アナフィラキシーはそれまで元気だった子どもに、急に生命の危険性が訪れる疾患ですから、予防が大切で、発症時には緊急かつ適切な取り扱いが求められます。

2008年8月27日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.