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 けいれんが長く止まらない状態をけいれん重積症と言います。けいれん重積症はできるだけ早く治療する必要があります。それはけいれんの持続時間が長いほど、生命の危険性や神経学的に後遺症を残す可能性が高くなるからです。

 典型的な熱性けいれんでは発作は普通5分以内に止まります。したがって私たち小児科医が実際にけいれんを見ることはあまり多くありません。救急車で受診する人でもほとんどは来院時にけいれんが止まっています。

 しかし救急車で来院したときにもけいれんが持続しているような場合には15~20分以上けいれんが続いている可能性があります。このような自然に止まらないけいれんには何か重大な疾患が隠れていることがあります。

 けいれんが起こると呼吸が抑制されますが短時間のけいれんでは脳が酸素不足に陥ることはありません。けいれんが長く続くと、全身の酸素不足や二酸化炭素の蓄積が生じて、血液の酸塩基平衡が崩れます。また脳浮腫が発生し二次的な脳障害の原因になります。

 けいれん重積症の場合には、けいれんを止める薬剤に加えて、酸素投与や人工呼吸、輸液による酸塩基平衡の補正などが必要となります。

 初めての熱性けいれんでも時に重積症になることがあります。このような持続時間の長い熱性けいれんの中には基礎疾患や重篤な中枢神経系感染症が隠れている場合があります。

 けいれん重積症に高熱、意識障害をともなう場合には脳炎・脳症や化膿性髄膜炎などの中枢神経系の重症感染症を考え、検査・治療を進めます。中にはヘルペス脳炎や化膿性髄膜炎などのように、早期に診断をつけて適切な治療を開始すれば治癒可能な疾患もあります。

 けいれん重積症には重大な疾患が隠れている場合があります。まずけいれんを止めること、基礎疾患の正確な診断をつけることが大切です。

2008年7月23日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.