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 意識障害を訴えて来院する患者さんの原因疾患には様々なものがあります。意識障害は大脳半球または脳幹部の異常によって引き起こされるもので、成人では脳血管障害や循環器障害によるものが多く、小児ではてんかんや急性脳炎・脳症の割合が多いとされます。

 小児で多い意識障害の原因の中でも、てんかんは慢性疾患ですから急性脳炎・脳症によるものより緊急性は低くなります。

 急性脳炎・脳症は意識障害の他に高熱やけいれん重積、呼吸・循環器症状など全身の重い症状をともなうことが多く、緊急の蘇生処置やけいれんを抑制する治療が必要になります。

 高熱に意識障害をともなった場合にそれが熱せん妄なのか、脳炎・脳症による意識障害なのかを最初から区別することは困難です。

 またけいれん発作を見た場合にも、熱性けいれんなのか、脳炎・脳症にともなうけいれん発作なのかを区別することも困難です。

 急性脳炎・脳症では高熱、意識障害やけいれんの持続だけでなく、呼吸障害や循環障害など全身症状がみられることがあります。呼吸・循環障害によって脳血流量の低下や低酸素状態が起こると脳は大きな障害を受けます。さらに二次的に脳浮腫を起こしやすくなります。

 また脳炎・脳症のけいれんは治療に抵抗して止まりにくく長時間持続します。けいれんが長時間持続した場合にも脳血流量の減少や低酸素状態になり脳浮腫が起こります。

 脳浮腫は頭蓋内圧を高くして脳幹部を圧迫することによって意識障害を悪化させます。

 急性脳炎・脳症は脳神経細胞が直接侵される病気ですから生命に関わるだけでなく、神経学的な後遺症を残すことがあります。

 したがって急性脳炎・脳症を疑わせる意識障害を見た場合には、呼吸・循環障害に対するすみやかな処置とけいれんに対する治療を行い、二次的な脳障害の予防に努めることが大切です。

2008年6月25日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.