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 小児の意識障害は普段あまり経験することの無い症状ですから家族はとても不安になります。また意識障害は原因疾患の緊急性や重篤度から考えて、できるだけ早期に診断をつけて治療を開始する必要がありますから、受け入れる医療機関にとっても取り扱いに注意が必要になります。今月は意識障害について考えてみました。

 意識障害を考えるときには意識内容と意識水準に分けて考える必要があります。

 意識内容はと周囲の状況を認識することで、大脳皮質が重要な役割を果たしています。大脳皮質が広範囲に侵されると意識内容の変化が認められ、せん妄、もうろう状態、錯乱などと言われる症状があらわれます。

 意識水準とは覚醒のことで、外界からの刺激を中枢に伝達する脳幹部が重要な役割を担っています。意識水準の低下は覚醒していられない状態のことです。これは脳幹部が直接侵される場合の他、大脳の病変にともなう脳浮腫や小脳など脳幹部周辺の疾患によって発生する二次的な脳幹障害によって起こります。

 意識障害を評価するときには意識水準と意識内容を分けて評価することが望ましいのですが、意識水準が低下すれば意識内容を正確に表現することはできなくなります。したがって多くの場合、意識障害の評価は意識水準の低下で表すことになります。

 小児とくに乳幼児では大脳皮質の発達が未熟で、またある程度の発達段階に達した小児でも、その内容を他人に伝える言語機能が未熟ですから意識内容の変化を正しく表現することは難しいものです。

 さまざまな疾患で発病初期の意識障害の程度を正しく判定し記載しておくことは、その疾患の経過を観察し、治療法の有効性や疾患の予後判定に役立ちます。

2008年6月11日掲載

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