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 水痘は水痘帯状疱疹ウイルスによる皮膚感染症です。水痘に一度かかると終生免疫ができますが、一部のウイルスは知覚神経の神経節細胞に潜伏して長い年月を経て帯状疱疹を発病することがあります。帯状疱疹の多くは老人の病気ですが、まれに子どもの帯状疱疹を経験することがあります。

 帯状疱疹は宿主の抵抗力が低下した場合に潜伏していた水痘ウイルスの再活性化が起こり、潜伏していた知覚神経にそって皮膚に水疱が出現します。多くは肋間神経にそって片側性に見られ、激しい神経痛を来す場合があります。

 帯状疱疹では患者さんの上気道からウイルスが排出されませんから空気感染することはありません。しかし皮膚の水疱からはウイルスが出現しますから直接接触することで水痘を発病することがあります。

 水痘は多くの子どもがかかりますが健康な子どもがかかった場合には軽症に終わることがほとんどです。重症の水痘では発疹が出血性になることや発疹の数が多く全身に散布されることが知られています。普通、水痘の発疹は体幹部に出現することが多いものですが、四肢末端まで発疹が出る場合には注意が必要です。

 新生児、妊婦、成人が水痘にかかると重症水痘になりやすいと言われます。また悪性腫瘍や白血病、ネフローゼ症候群などで抗がん剤や副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤を使用している場合水痘が重症化して生命に関わることがあります。また家族内で水痘が発生した場合には反復して大量の水痘ウイルスに暴露されるために重症化することがあります。

 多くの健常な子どものたちの水痘を見ていますと水痘は軽い病気であると考えてしまいます。元気があるからとか仕事の都合で早く学校や保育園に行かせるようなことは絶対に行ってはいけません。十分に治癒していない状態で集団生活に参加することは水痘の流行を広め長引かせることになるとともに免疫力の乏しい人の生命を脅かすことがあることを知っておく必要があります。

2006年5月16日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.