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 今月は麻疹(ましん)風疹(ふうしん)を中心に予防接種の変更についてお話ししてきました。麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を使用することで2回接種が容易になります。しかし完全に2回接種になるのはまだしばらく先になります。

 これまで麻疹は1歳を過ぎればできるだけ早く、遅くとも1歳3カ月までに接種を完了するように指導してきました。しかし実際には生後90カ月までの接種が認められていました。これが今年4月1日以後は生後12カ月から生後24カ月未満の接種になり、接種期間は1年間に短縮されます。

 MRワクチン導入のもっとも大きい意味は2回接種です。しかし実際に2回接種が始まるのは今年4月以降にMRワクチンを使って免疫をつけた子どもが5歳になる4年後です。就学前の5歳から7歳までに2回目の接種が始まる予定です。

 しかしすでに麻疹、風疹の単独ワクチンを接種した子どもたちにはMRワクチンを使用して2回目の接種予定はありません。また麻疹や風疹にかかって片方のワクチンのみ接種した人も接種の対象ではありません。厚生労働省は2回接種の必要性は認めるものの、単独ワクチン接種者や麻疹にかかった子どもにMRワクチンを接種することの安全性が確立されていないと言います。

 今後、単独ワクチン接種者に対する治験が修了すれば、今までに麻疹ワクチンを受けた子どもたちにもMRワクチンの2回接種が可能になると思われます。 麻疹ワクチンを1回だけ接種してその後麻疹に接種することがなければ免疫はなくなります。したがってワクチンで免疫を獲得した世代が増加している現在、麻疹の免疫を待たない成人が増加していると考えられます。社会全体としての麻疹に対する免疫は低下しており、もし麻疹の流行があれば大勢の成人麻疹が発生する恐れがあります。

 成人の麻疹を発生させないためには麻疹を根絶する必要があります。そのためには早期に子ども全員のMRワクチン2回接種を実施することが望まれます。

2006年3月28日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.