今月は先週に引きつづいて予防接種法の変更についてお話ししています。
今年の4月から麻疹(ましん)風疹(ふうしん)ワクチンが混合ワクチンになって1回の接種でよくなります。これは麻疹ワクチンを2回接種にするための措置です。
麻疹ワクチンの有効率は95%以上あるとされますが、1回接種では免疫ができない人が数%あります。また麻疹ワクチンで免疫を獲得した人でも、その効果は時間経過とともに低下して、数年後には発病を阻止するだけの効果が見られなくなります。
このような免疫を持たない人、すなわち麻疹ウイルスに感受性のある人の割合が増えてきますと、麻疹が流行する条件が整います。このような地域に麻疹患者が一人でも発生しますと、麻疹に免疫のない人は次々に麻疹にかかってしまいます。
最近は麻疹ワクチンで免疫を獲得して麻疹にかからずに大人になった人が増えてきています。したがって一度麻疹が流行すると麻疹にかかる大人が増えてくることが予想されます。事実、一部の地域では大学生の間で麻疹の流行が見られています。
これまでは子どもの病気であった麻疹が大人の間にも流行する可能性が出てきました。これを予防するためには子どもの予防接種を徹底することによって、麻疹を世の中から根絶する必要があります。麻疹を根絶するためには予防接種を1回だけにして接種率をいくら高くしても免疫獲得率を100%にすることはできません。
麻疹ワクチンの接種回数を2回にすることで、1回目の接種で免疫ができなかった人に2回目の接種で免疫を獲得させること、また1回接種で獲得した免疫が低下しないように2回目の接種をすることで免疫を強化することが大切なのです。
今回の改正では、麻疹ワクチン2回接種の実施は少し先になります。今年4月以降、麻疹風疹混合ワクチンを接種した子どもたちが小学校に入学する前年に2回目の接種が行われるようになります。
現在のところ厚生労働省は、単独の麻疹ワクチンで免疫をつけた人の2回接種を認めていません。できるだけ早くすべての子どもに2回接種の機会を与えることが大切です。
県民の皆さまへ
予防接種の変更 -2-
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- カテゴリ: 小児科相談
2006年3月21日掲載