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 低身長は本人にとっても両親にとっても心配なものです。とくに思春期前になると多くの子どもの身長が急速に伸び始めることで身長の個人差が大きくなりますから不安も増します。思春期前には男子で年間10cm、女子で8cmと身長が急速に伸びます。このことを思春期成長スパートと呼びます。このスパートが終わると伸びは穏やかになりやがて最終身長になります。したがって早くに思春期が来た子どもの身長は早く停止し、遅くに思春期を迎えた子どもはゆっくり長く伸びる結果になります。

 身長の伸びには成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンが深く関与しています。とくに思春期成長スパートに関与するのは性ホルモンです。性ホルモンが分泌され始めると二次性徴が表れます。男子では精巣の容積が増大し、女子では乳房が発育してきます。それと同時に身長が急速に伸び始めます。一般に男子では10~14歳、女子では8~13歳で二次性徴が見られます。しかし性ホルモンは骨の伸びに関与するとともに骨の成熟にも関与します。骨が成熟すると太く強くなりますが、骨の伸びは停止します。したがって性ホルモンの分泌が増加して思春期になると間もなく成長は停止しそこが最終身長になります。

 身長が伸びるのは、長管骨末端の軟骨細胞が増殖するためです。つまり骨が縦軸方向に伸びることによって身長が伸びるのです。長管骨の中央は骨幹部、先端は骨端部と呼ばれます。その境界に軟骨成長板と呼ばれる部分があり、この部分が盛んに細胞増殖を繰り返すことによって骨が伸びます。増殖細胞に石灰が沈着することで骨は強度を増します。骨の成熟が進むと軟骨成長版における細胞の増殖が減少して骨の石灰化が進みます。成長が止まるときには骨幹部と骨端部の境界がわからなくなります。これがレントゲン上の骨端線閉鎖という現象で、成長が止まるサインです。

 もし低身長が内分泌異常などの原因で治療を要する場合でも思春期に入れば間もなく骨端線は閉鎖してしまいます。低身長に気付いた場合には子どもに二次性徴が出現する前に専門医に相談することが大切です。

2005年6月21日掲載

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