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 身長が低くても肉体的な痛みをともなう訳ではありませんから背の低い人の悩みは普通の人には理解され難いものです。身長が低いと社会的に不利な取り扱いを受けることや、子ども心に劣等感が芽生える原因になることがあります。子どもの身長は両親の身長によって遺伝的に決まりますが、母親の胎内環境や病気の影響を受けて出生時に小さく生まれてくることがあります。さらに本人の内分泌疾患やその他の身体疾患によるものや生育環境などの影響を受けて成長が障害されることもあります。しかし身長が低いと悩んでいる人の中にはまったく異常が見られない人もあります。今月は切実な悩みの種になる低身長について考えてみました。

 身長が正常範囲であるかどうかを判断するには同性・同年齢の子どもの標準身長と比較する必要があります。日本人の男女別、年齢別の平均値と標準偏差が表されています。この表を利用すると、各年齢の1ヵ月毎の平均値と標準偏差がわかります。これをグラフにしたものが成長曲線です。このグラフには平均値を真ん中に、上下に標準偏差の1倍および2倍の線が描かれています。男女別のグラフには5本の線が描かれています。年齢にあわせてグラフ上に自分の身長を書き込むだけで、それが平均値と比較してどのくらい差があるのかすぐにわかります。一般に平均値から標準偏差の2倍以上小さい場合を低身長とします。したがってグラフに描いたときに一番下の線よりも下に自分の身長が来れば低身長と判断されます。乳幼児期からの身長をグラフ上に点を打つと、その子どもの成長曲線を描くことが出来ます。成長曲線には身長と体重が表されていますから肥満などを判定することにも利用できます。成長曲線を描くことで、低身長の発生時期や低身長の程度、1年間の身長の伸び、将来の最終身長を予想することができます。また成長曲線のパターンから多くの疾患を推測することができます。

 背が低いと悩んでいる場合には、まず乳幼児期からの身体計測の記録を利用して成長曲線を描いて見ることが大切です。

2005年6月14日掲載

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