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 食欲は子どもの健康状態をはかるバロメーターです。食欲があって栄養状態が良ければ食事が適切にできていて家庭や子どもを取り巻く環境が適正であることが分かります。高熱があっても食欲が保たれている時には全身状態は比較的よく保たれていて安心です。しかし、たいして症状が見られないのに食欲がない場合や栄養状態が悪い時には重い病気や慢性疾患が隠れていることがあり、油断できません。食欲や機嫌の良し悪しは全身状態を判断する目安になります。

 最近、わが国では社会や経済状態の安定から開発途上国に見られるような食料不足による栄養失調症を見かけることはほとんどありません。しかしさまざまな全身疾患を治療しているうちに、食物の摂取制限による栄養不足や消化吸収能力の低下による二次的な栄養失調症が見られることがあります。慢性の感染症や先天代謝異常症、先天奇形、低出生体重児などに栄養障害の見られることがあります。さらに最近では精神心理的、社会的な原因による栄養障害が問題視されています。

 栄養障害の中で食事性のものや感染症、先天異常など体質や素質によるものは栄養摂取量や各栄養素のバランスが悪いために起こる問題です。蛋白質とかビタミン類、ミネナル類の不足などによる障害があげられます。

 養護の不適切による栄養障害としては、衛生上の問題、うつ熱など環境の劣悪、寒冷、渇きの原因が水分供給不足や濃厚すぎる栄養によるもの、母体からのアルコールやニコチンなどの薬物や毒物、誤った医療行為によるもの、精神的・心理的な飢餓状態によるものなどがあげられます。中でも虐待による栄養障害は栄養摂取の量的・質的な問題ばかりでなく精神・心理的なことが問題となります。育児中の母親の不適切な養育態度には早期に適切な介入をすることによって虐待に至らないような配慮が望まれます。

 乳児期早期の栄養障害はその後の身体的な発育だけでなく精神・神経の発達にも影響が及ぶと考えられています。環境を整え正しい栄養に対する知識をもって子どもの適切な栄養を進めることが大切です。

2004年10月26日掲載

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