食事は生命活動を維持し健康増進のために、また同時にからだを作るためにも欠かすことができないものです。しかし食事には栄養を摂取するという生理的な機能だけでなく、精神的、社会的、文化的、教育的な機能などのさまざまな働きがあり、それぞれが重要なものです。今回は食事の持つさまざまな機能についてお話しします。
人の食事が動物の餌と違うのは単なる栄養の摂取にとどまらず、人には食欲や好き嫌いがあり、これらは精神や心理状態によって大きな影響を受けるということです。食事が楽しければ食欲が増し、大勢と一緒に食事をすれば同じものを食べてもおいしく感じられます。反対に必要な栄養素だけを摂取するための食事や、食欲だけを満たすための食事では満足を得ることはできません。また家族で一緒にする食事には家族団らんやしつけをする役割があります。子どもは大人と一緒に食事をすることで、なにをどれだけ食べれば良いのかを学びます。食欲をコントロールし、正しい食事の習慣をつけるのです。このことは食事を通して健康を維持増進するためにとても大切なことなのです。
さらに家族とともに食事をすることや学校給食で大勢が一緒に食卓を囲むことは、社会的なコミュニケーションの場として大切な機会です。人は人とともに食事をすることで人間関係の絆を強めます。一緒に食事をすることで人と仲良くなることができます。最近、子どもだけで食事をすることが増えてきています。仕事が忙しくて子どもと一緒に食事をすることができないとか塾やクラブで子どもだけが家族と別々に食事をする傾向があるようです。必要な栄養を摂取することや食欲を満たすことだけが食事の役割ではありません。からだのために必要な栄養素を過不足なく摂取することはもちろん大切ですが、家族と一緒においしい食事を楽しく食べることはもっと大切なことだと考えられます。食事の持つ意味を考えてみたいものです。
県民の皆さまへ
子どもの食事 2
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- カテゴリ: 小児科相談
2004年10月19日掲載