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 今年は風疹が全国各地で流行して話題になっています。昔、風疹ワクチンの接種が行われる前には、数年毎に風疹の流行が見られていました。その後、中学生女子にだけ集団で風疹ワクチンの接種が行われるようになりましたが、風疹の流行はなくなりませんでした。さらにその後、1995年の予防接種法改正でワクチン接種の対象が12ヵ月から90ヵ月の男女に行われるようになりました。また接種法も個別接種になりました。その結果、風疹の大流行は見られなくなりました。このシステム変更時にワクチンの接種率が大きく低下しました。この接種率の低い時期に子どもだった人達が現在、成人になって妊娠可能年齢となっています。風疹に免疫のない人が妊娠中に風疹にかかると先天性風疹症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。今月は風疹の問題点について考えてみました。

 風疹はワクチンが普及する前には春から初夏にかけて4~5年毎に流行する病気でした。現在でも風疹に対する治療薬はありませんが、合併症さえなければ命にかかわるような症状が見られることはありません。主な症状は発疹です。熱が出たり首のリンパ腺が腫れたりしますが一般状態が悪化することはほとんどありません。ただし年齢によって症状の強さが異なると言われます。一般に乳幼児の風疹は軽く、年長児や成人では重くなり、発熱を伴うことなどが多くなります。

 風疹の診断は発疹によってつけられます。これは簡単なように見えますが、インフルエンザのような迅速診断キットがありませんから確定的なものではありません。他の原因による発疹が紛れ込んでくる可能性があります。とくに初夏の夏かぜウイルスによる発疹や麻疹、突発性発疹症などと鑑別が必要となります。従って、臨床的に風疹と診断を受けた人の中にはまったく風疹に対する免疫を持っていない人が含まれている可能性があります。さらにじっさいに風疹にかかった人でも2回かかる人があり、その頻度は3~10%あるとされます。ワクチン接種者でも風疹にかかる人が14~18%あると言われており注意が必要です。

2004年8月10日掲載

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