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県民の皆さまへ

 麻疹の怖さについては今までさんざん述べられてきましたが、まだまだ麻疹に対する正しい知識を持っている人は少ないのではないでしょうか。また医者の中でも実際の麻疹を経験した人が少なくなっています。小児科医でも麻疹の診断は難しい場合があります。今週は典型的な麻疹の症状についてお話ししたいと思います。

 麻疹の接触から発病までの潜伏期間は10日前後です。最初の症状はカタル症状と呼ばれ、一般の風邪の症状と変わりはありません。38~39度の高熱、激しいせきや鼻水など上気道症状、目やになどの結膜炎症状が加わりだんだん強くなります。下痢や腹痛など消化器症状も多く見られます。発疹出現前のこの時期を前駆期とかカタル期と呼び、2~4日間持続します。この時期は判断がつきにくい上に、感染力が最も強い時期です。

 カタル期の終わり頃に口腔内、頬粘膜の内側に白色の少し隆起して周囲が赤くなった小さな斑点が出現します。これがコプリック斑です。コプリック斑は麻疹に特有な斑点であり、これを見つければ麻疹の診断がつきます。この斑点が出現して1~2日前後で麻疹特有の発疹が出現します。

 麻疹の発疹は耳の後ろから出現して頚部、前額部から体幹部や上肢へ、急速に全身に広がります。コプリック斑が出現する時期に熱は一時少し下がりますが、全身に発疹が出現する時には再び上昇して持続します。麻疹の発疹は鮮紅色扁平ですが時間経過とともに少し盛り上がり融合していきます。次いで暗赤色になり色素沈着します。発疹出現時期を発疹期と呼び3~5日間持続します。カタル期から発疹期に麻疹は感染力が強いのです。

 発病後7~10日後に合併症さえ起こしていなければ回復期に入ります。解熱とともに発疹は出現した順に消失しますが、発疹の色素沈着はしばらく残ります。カタル症状も次第に軽くなっていきます。  

 以上のように普通の麻疹でも1週間くらい高熱と激しいせきなどが持続しますから、乳幼児が麻疹にかかると脱水症を起こすことが多く入院治療が必要となることが多くなります。絶対に麻疹は予防が必要なのです。

2004年7月20日掲載

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