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 小児科外来で発達に関する相談の中で多いのはことばの遅れについてではないでしょうか。ことばの遅れの原因にはさまざまなものがあります。広汎(こうはん)性発達障害<自閉症>、全般的な知能障害、聴力障害<難聴>、脳性麻痺などの脳の器質的な疾患や環境性・心因性障害などが原因として挙げられます。治療の必要な疾患を見逃さないためには、正しい診断をつける必要があります。今回はことばの遅れの原因についてお話ししたいと思います。

 子どもが1つか2つの単語をしゃべることが出来るようになるのに約1年かかります。耳から音声が入る。入った音声を認知してことばとして理解する。頭の中でことばを整理して組み立てる。口からことばを出す。周囲の反応を見て修正しながら音声を発する。これを繰り返して、意味のある単語1~2語をしゃべるようになるのに約1年かかるのです。したがってことばが正常に発達するには聴力などの感覚機能とある程度の知能、口や咽喉などの運動機能、さらに対人関係などの社会性が発達していることが必要とされます。

 ことばの遅れには3つの原因が考えられます。

1. 聴力の問題
2. 脳の高次機能の問題
3. 運動機能の問題

の3つです。

 聴覚の異常には外耳から内耳までと内耳から聴神経や大脳の聴覚野までの問題に分けて考えることが出来ます。外耳の奇形や中耳炎などによる難聴は伝音性難聴と呼ばれ、早期発見が大切です。新生児仮死や先天性風疹症候群、一部の抗生物質の副作用による難聴は感音性難聴と言われ、予防が最も大切です。脳の高次機能に問題がある場合として、精神遅滞や自閉症、発達性言語遅滞、単純性言語遅滞などがあります。これらの疾患はことばの遅れで気付かれることが多く、ことばの遅れを示す子どもを見たときに正確な診断をすることが求められます。ことばの出力に問題があるのは脳性麻痺などの運動機能障害ですが、精神遅滞を合併しなければことばの遅れを示すことは少ないものです。

2004年3月16日掲載

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