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 生後3~4ヵ月の赤ちゃんはことばをしゃべることは出来ませんが、人の顔を見ながらしきりに口を開けて何か話しかけてきます。「アーアー」とか「オーオー」と言って一生懸命に話しかけてきます。大人が顔を見て笑いかけるとニコッとします。あやすとキャーキャー大声を出すこともあります。赤ちゃんとコミュニケーションがとれた瞬間です。少し月齢が進むと赤ちゃんは「ママママ」とか「ダダダダ」などの音声を出してさかんにしゃべり始めます。これを喃語(なんご)と呼びますが意味は不明です。1歳近くなると音声をさかんにまねるようになり、正しくまねることが出来るようになると、「マンマ」や「ブーブー」など意味のある単語をしゃべるようになります。正常発達の乳児では1歳で1~2語の意味のある単語を話し、2歳で2語文を話し、3歳で簡単な会話が出来るようになります。しかし、ことばの発達には大きな個人差があって、その生育環境が大きく作用しますから、1歳で単語が出なくても必ずしも異常とは限りません。しかし1歳半で意味のある単語が1語も出ないとか、2歳半で2語文が出ない場合にはことばの遅れがあるとするのが一般的です。またこの基準に合わなくても知能や運動機能の発達に遅れがあるとか、コミュニケーションがとり難いなどの問題がある場合には積極的な精密検査が必要と考えられます。

 ことばが発せられるには、耳から入ったことばが大脳で認知される必要があります。音声は中耳、内耳、聴神経を通って大脳の聴覚野に入ります。さらに大脳皮質で情報分析が行われ、ことばの意味が理解されて、また文字などの視覚情報と統合してことばが形成されます。ことばが発せられるには脳全体で概念の形成がなされていることが必要になります。そのため、ある程度の知能の発達、聴覚などの感覚と運動機能の発達、社会性を含めた情緒面の発達が必要とされます。ことばの遅れの背景には脳の発達という大きな問題が隠れている場合があり注意する必要があります。

2004年3月9日掲載

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