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 今月はせきの話をしています。せきは気道の分泌物などを体外に排出するための防御反応のひとつですが、子どものせきが長引くと悪い病気ではないかと心配なものです。今回は長引くせきについて考えてみました。

 小児科の外来でせきがなかなか止まらない場合がありますが、多いのはアレルギー疾患によるもの、経過の長い特別な感染症が原因になっているもの、育児環境によるものなどが考えられます。

アレルギー疾患の代表は喘息で、乾いたせきが夜間に多く、せき以外に呼吸音の異常や呼吸困難が見られます。家族にアレルギー体質の人がいることや本人にアトピー性皮膚炎などがあれば喘息を疑うことになります。鼻炎や副鼻腔炎がある時にも、鼻汁が鼻の奥から咽喉に流れてこれが刺激になってせきが続くことがありますが、この時のせきは湿ったせきで、朝寝起きに一番多く夜間よりは昼間に多いものです。

 感染症による長いせきには、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳などの細菌が原因になるものがあります。いずれの疾患もあまり熱は出ません。これらのせきは乾いたせきが夜間に多く、ふつう家族内や集団内での流行が見られます。これらの感染症は適切な抗生剤療法で治療が出来るので見落としてはなりません。また感染症の中でも結核によるせきは家族内感染によるものが多く、家族に結核があるかどうかがもっとも重要です。

 アレルギーや特別な感染症以外でせきが長く続く場合に、家庭内に喫煙者がいて子どものせきが続いていることがあります。健康な子どもだけでなく、喘息などの気道の過敏な人にとってたばこの害は計り知れないものです。

 また保育所や幼稚園などの集団生活を始めたばかりの子どもが繰りかえしかぜをひいてせきが長く続く場合があります。あまり繰り返すようであれば集団生活をしばらく控えるようにします。

 さらに長引くせきに加えて発熱が持続するとか元気がない、せき込んで嘔吐が激しい、体重増加不良や成長障害が見られる、呼吸困難や低酸素症状がある場合などには慢性の重症疾患が隠れていることがありますので注意が必要です。

2004年2月24日掲載

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