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県民の皆さまへ

 前回にもお話しましたが、人が毎日ほぼ同じ時刻に寝たり起きたり出来るのは、身体の中に生体時計があるためです。約24時間の周期で変動する生体リズムはサーカディアンリズムと呼ばれ、生体時計に支配されています。生体時計は主として睡眠覚醒リズムを支配し、睡眠リズムは他の生理現象である内分泌系、深部体温、呼吸や循環器系などと同調して変動することが知られています。そしてこれらの生理現象は環境のリズムと一定の位相を保って変動しており、このことを同調と言います。人の体温は夕方に最も高くなり、入眠とともに下がり始め、夜明け前に最低になります。夜明け前には代謝活動が最も低くなり呼吸数や心拍数、血圧も低下します。睡眠中には成長ホルモンや抗利尿ホルモンの分泌が増加し、早朝の覚醒前に、コーチゾールやACTHなどの分泌が増加します。身体の代謝活動が最も低下する夜明け前には体温も循環器や呼吸機能が最も低下しますが、体内では内分泌系を中心に覚醒後の活動に必要なホルモンの分泌が始まっています。

このように睡眠覚醒リズムと同調して多くの生理現象が変動しています。生理現象がリズム的な変動をするのは、生体が一定の環境の中で適応するのに有利なためだと考えられます。活動中には呼吸も循環器系もしっかり働き、睡眠中には代謝活動も低下しています。もし睡眠中に血圧や心拍が必要以上に上がればゆっくり休んでいることが出来なくなります。そして睡眠の役割は休息をとることと同時に、次に目覚めたときに必要な物質を貯えておくことだと考えられています。様々な生理現象が睡眠覚醒リズムと同調し、環境リズムと同調することが、環境に適応する第一歩なのです。環境との同調が崩れる時、体内の生体リズム間で同調が崩れた時には身体の機能の不調を来たすことになるわけです。

2002年2月19日掲載

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