1. 医師法の成立
明治26年(1893年)わが国最初の全国統一医師団体である大日本医会(会員数 3300名)が結成され、明治32年医師の身分・業務を法制化するため医師会法案を議会に提出したが、旧帝国大学出身者で結成した明治医会の反対のため法制化ができなかった。しかし、日露戦争(明治37~38年)で医師の尽くした功績は国民一般の認めるところとなり、明治39年(1906年)5月に国会で医師法が成立した。これを受けて徳島県では明治40年(1907年)8月20日、谷口留五郎県知事が徳島県令第44号をもって医師法施行細則と医師会規則施行細則を告示し、徳島県における医師会設立の基盤が成立した。
2. 旧制徳島県医師会
徳島県医師会の創立に先立ち、明治41年(1908年)1月15日に徳島市医師会が設立され、その後相次いで板野郡、名東郡、名西郡、麻植郡、那賀郡、阿波郡、美馬郡、三好郡、海部郡の各医師会が認可設立された。郡市医師会代表者の選出を待って、明治41年10月1日徳島市中央公園内の千秋閣において徳島県医師会創立総会を開催、初代会長に古川市次郎(古川病院院長)、副会長に盛市郎(名西郡医師会長)が選出され、徳島県医師会が誕生した。
歴代会長
初代 | 古川 市次郎 (明治41年10月1日~大正9年3月) |
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2代 | 藤本 鑛太郎(大正9年5月~昭和10年12月18日) |
3代 | 西條 準次郎(昭和11年5月8日~昭和11年11月5日) |
4代 | 室住 儀三郎(昭和12年4月20日~昭和12年7月25日) |
5代 | 寺沢 潤二(昭和12年8月28日~昭和17年12月) |
6代 | 赤枝 守一(昭和17年12月~昭和22年8月) |
3. 新制徳島県医師会
昭和16年(1941年)12月8日、日本は米英に対して宣戦を布告し第二次大戦が始まった。当初は優勢が伝えられていた日本軍も年を追うにつれ次第に劣勢となり、昭和20年(1945年)8月6日に広島、8月9日に長崎が原爆投下を受けて日本は8月14日ポツダム宣言を受託、8月15日天皇の終戦詔勅放送により第二次大戦は終了し、米英ソ連合軍の占領下に置かれた。
徳島市は昭和20年7月4日の大空襲で市街の70%が焦土と化し、徳島市幸町にあった県医師会館、好生社、好生社病院、徳島市医師会事務所は全焼した。そのため県医師会の仮事務所が戦災を免れた鈴江病院(佐古八番町)内に置かれたが、同病院は医師会活動がほとんど行えない終戦直後の混乱期にあって中心的な医療機関となった。
昭和22年(1947年)8月政府は第26回国会において医師会解散の法律を交付し、日本医師会は11月に解散総会を開催、従来の官制医師会でない民主的な社団法人による医師会の出発となった。徳島県では昭和22年6月27日より数回にわたり新制徳島県医師会設立委員会を開催、同年8月25日開催した第1回代議員会において会長に鈴江瑞穂(鈴江病院院長)が選出され、新制徳島県医師会が誕生した。しかし、8月30日に政府から昭和17年以降の役員は新制医師会の役員を遠慮せよとの指示があったため鈴江会長はわずか1ケ月で辞任し、9月30 日に大久保九平(大久保病院院長)が会長に就任、昭和22年11月1日阿部五郎県知事に認可された。つまり、新制徳島県医師会は昭和22年(1947年)に誕生し、平成9年(1997年)11月1日に50周年を迎えることになる。
県医師会館は昭和22年6月現在地に仮事務所が建設され、昭和28年3月木造2階建の旧医師会館が落成した。その後昭和41年8月斎藤利勝(斎藤病院院長)会長時代に鉄筋4階建に改築され現在に至っている。
歴代会長
7代 | 鈴江 瑞穂(昭和22年8月29日~昭和22年9月29日) |
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8代 | 大久保 九平(昭和22年9月30日~昭和32年3月31日) |
9代 | 齋藤 利勝(昭和32年4月1日~昭和35年1月27日) |
10代 | 鈴江 瑞穂(昭和35年2月5日~昭和37年1月26日) |
11代 | 松永 直(昭和37年4月1日~昭和38年3月31日) |
12代 | 齋藤 利勝(昭和38年4月1日~昭和55年3月31日) |
13代 | 中瀬 郁雄(昭和55年4月1日~平成元年4月30日) |
(代行) | 中谷 浩治(平成元年5月1日~平成元年10月12日) |
14代 | 中谷 浩治(平成元年10月12日~平成8年3月31日) |
15代 | 鈴江 襄治(平成8年4月1日~平成16年3月31日) |
16代 | 中川 利一(平成16年4月1日~平成18年7月13日) |
(代行) | 日比野 敏行(平成18年7月13日~平成19年1月25日) |
17代 |
川島 周(平成19年1月25日~平成28年6月2日) |
18代 | 齋藤 義郎(平成28年6月2日~現在) |
徳島県医師会広報委員会