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近年、小児の肥満が増加し、小・中学生の10%前後に肥満がみられるようになった。幼児期に始まった肥満は、学童期、思春期、成人期の肥満につながる傾向が強いことが確認されている。ただし、乳児の肥満は幼児期以後の肥満とはあまり関係しない。
肥満は高血圧、糖尿病などの生活習慣病の最も大きな原因である。したがって、成人期の生活習慣病を予防するためには、幼児期からの肥満予防が大切になってくる。
母子手帳に、幼児の肥満度を分かりやすく判定するために、新しく幼児の身長体重曲線(肥満度判定曲線)が採用されている。横軸に身長、縦軸に体重を示し、それぞれを結んだ点が肥満度を示している。幼児では、肥満度15%以上を肥満と判定し、20%以上では、食事、運動などの日常生活での指導をうける必要がある。また、一回だけで判定するのではなく、経過を追って、身長体重曲線の変化を描き、発育パターンを確認することが必要だ。描いた曲線が右上がりに離れるならば太る傾向、右下がりであればやせる傾向と考えて、肥満とやせの予防に母子手帳も役立てて欲しい。
子ども達が親から一生のライフスタイルを学ぶ2~3歳の時期に、食事、運動、睡眠などの正しい生活習慣を身につけることが、肥満防止に最も重要だ。
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毎冬、種々のウイルス(エンテロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス等)により、多くの乳幼児が胃腸炎に罹る。いわゆる「お腹のカゼ」で、生後5カ月から、一歳半ぐらいの乳幼児が罹る。通常嘔吐で病気が始まり、続いて下痢が起こってくる。嘔吐は1~2日間、下痢はおむつから流れ出すような下痢で、1日に数回から数十回に及ぶ。白色~淡黄色の便で、なまぐさい臭いはない。この病気で最も注意することは、脱水症(体内の水分が失われる状態)にならないようにすることだ。
嘔吐があれば、数時間は絶食にして、吐き気の様子をみながら、少量の水か小児用電解質液(薬局などで種々の製品が市販されている)を、時間をかけて与えて欲しい。この時、欲しがるからと言って固形物(食物)を与えてはならない。嘔吐を繰り返し、脱水症になってしまう。まず充分に水分の補給をすることが大切。吐き気が強ければ,鎮吐剤座薬(病院で処方)を使いながら、水分補給を行う。半日から一日くらい、水分補給のみで様子を見て、吐き気が
おさまれば、初めて消化の良いものを少量づつ与える。座薬を用いても嘔吐が止まらない場合、嘔吐の後に水分も欲しがらず、うとうとしている場合は、病院で経静脈補液(点滴)する必要がある。
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昔の病気とおもわれていた結核が、40数年ぶりに増加傾向がみられたため、全国に結核緊急事態宣言がだされた。学校、病院、老人介護施設などで、結核の集団発生もみられている。本県の結核有病率は、全国でワースト3に入っており、特に注意が必要だ。
さて、乳幼児が結核菌に感染すると、通常の肺結核だけでなく、粟粒結核(結核菌が肺全体にひろがる重症な肺結核)や結核性髄膜炎(結核菌が脳や脊髄に入り、後遺症を残す重篤な結核)になることもある。
このような重篤な結核を予防するには、乳児期早期(3~4カ月)にBCG接種をしておくことが最も大切である。ただし、BCG接種で完全に結核の発病を防げるものではない。したがって、乳幼児を結核菌に接触させないこと、つまり、家族が結核にかからないようにすることが重要だ。乳幼児の結核の半数以上は、家族から感染している。家族内で、長期間(通常2
週間以上)つづく咳や微熱がみられたら、カゼだと思いこまないで、かかりつけ医に相談し、結核の早期発見につとめて欲しい。このように、乳幼児の結核予防には、乳児期早期のBCG接種と、家族の健康
管理が大切である。
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一歳を過ぎて、よちよち歩き始めると、赤ちゃんの周りには、危険がいっぱいだ。しかし、そのほとんどは大人のちょっとした注意で防ぐことが出来る。
1. 転倒・転落を防ぐ
歩き始めの頃は、転ぶものだとの立場で、室内の机、コタツの角、段差などの安全確認をする。階段や窓から転落しないように、柵をつける。窓には、出来るだけ鍵をかけ、開け放さない。窓の近くや、ベランダで、踏み台となるベッド、園芸用の柵、エアコンの室外機などの配置に気を付ける。また、床よりも高い場所(テーブルやベッド)に放置しない。
2. 水に注意
赤ちゃんは、ほんの数十センチの水深でも、溺れることがある。フロ、洗濯機、トイレなど、水のある所に独りで行けないような工夫が大切だ。
3. 誤飲の防止
赤ちゃんは、何にでも興味を示し、物を口に入れる。よく誤飲するものに、タバコ、薬、化粧品、洗剤、オモチャのかけら、ボタン電池、クレヨン、硬貨、ホウ酸だんご等がある。これらの中には、誤飲すると、重篤な状態になるものもある。まず、これらの危険な物を、赤ちゃんの手の届かない所に保管することが大切だ。又、保管場所には、扉を付け、鍵をかける位の注意が必要だ。
4. ヤケドに注意
ストーブ、アイロン、ポット、スープ、ミソ汁、フロの湯など、家庭内の熱い物は、すべてヤケドの原因になる。赤ちゃんが触れないように注意する。また、服は難燃性の素材が安心だ。
赤ちゃんの目線で、もう一度、家の中を見回そう。赤ちゃんにとって、危険な物や場所が見つかると思う。油断大敵、何はなくとも安全が第一だ。
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最近大人の社会と同様に、赤ちゃんの太りすぎを心配する親が増えている。しかし、赤ちゃんの肥満は一般に大人の肥満にはつながらないと考えられている。
赤ちゃんの体重を判断するときは、身長とのバランスをみるカウプ指数で判断する。また、母子手帳の乳児身体発育曲線の上に身長、体重をプロットして、描かれた曲線に並行にのびているときは、発育は順調と考えて良い。
ハイハイ、つたい歩きと運動量が増え、離乳食の内容と量が増えるに従い徐々に体重と身長のバランスはとれてくる。赤ちゃんの離乳食の量は個々でまちまちだが、肥満は食生活や生活習慣と密接に関係する。例えば、食事をだらだらと食べたり、ジュースや清涼飲料水のとりすぎなど、また逆に太るからとミルクの量を減らしたり、薄める必要はない。きちんとした食習慣を身につけることが大切である。