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子どもの中には動き回ったり走り回ったりして、少しもじっとしていない落ち着きのない子どもがいます。教室や静かにしていなければいけない場所で立ち上がって走り回り、抑制しようと思っても抑制が利かなくなります。またこのような子どもの中には知的には問題がないのに成績が振るわない子どもや、不器用な子どもがいます。
今月はこのような多動を主症状とする疾患について考えてみました。
昔は、多動や不注意に学習困難や不器用さを示す子どもに微細脳機能障害とか微細脳損傷という診断がつけられてきました。このような子どもたちには脳神経系に異常があることが疑われるにもかかわらず、脳波や脳CTなどではなかなか異常が見つからなかったので、診断に困ったあげく、このような診断名がつけられたのです。
したがってこのような診断名をつけられた子どもたちの中には多くの異なる疾患を含んでいた可能性があります。そのため、同じ診断名でも必ずしも同じ取り扱いや同じ治療法が有効であるとは限りませんでした。
そこで最近は不注意や多動・衝動性を主症状とする疾患を注意欠陥多動性障害と分類して、他の発達障害と区別して取り扱うようになったのです。
注意欠陥多動性障害は不注意優勢型と多動性・衝動性優勢型、この2つの混合型の3グループに分けられます。
子どもは本来元気で走り回っているものです。とくに幼児期早期にはこれが子どもの特徴と考えられます。しかし小学校など集団生活の中でいつまでも走り回っている子どもの中には自分で抑制の効かない多動が見られることがあります。このような多動は本人にとっても周囲の人たちにとっても大変不利な症状です。正確な診断つけて治療の機会を与えることが必要です。
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アナフィラキシーはアレルギー疾患の中でもっとも緊急に診断や処置が求められるものです。とくに集団生活の中でアナフィラキシーが発生した場合には、どれだけ早く適切な対応ができるかどうかが救命の分かれ目になります。
アナフィラキシーの対応でもっとも大切なのは予防です。原因食物が判明している場合には、その原因食物を除去することで予防することが可能です。以前に特定の食物を摂取してアナフィラキシー症状を経験していれば、原因食物を推定することができます。
しかし集団生活の中で大勢の子どもたちに食事を提供するときにアナフィラキシーを完全に予防することは難しい場合があります。原因食物の除去を指導していても誤って食べてしまう事故が起こることがあります。また原因食物が特定されていない場合もあって完全な予防は難しいものです。
さらに特殊なタイプのアナフィラキシーとして食物依存性運動誘発アナフィラキシーと言う疾患があります。
これは原因食物を摂取しただけでは症状が出ないのに、原因食物を摂取した後に運動をするとアナフィラキシー症状が出るものです。これを食物依存性運動誘発アナフィラキシーと言います。
この疾患は中学生や高校生に比較的多く見られますから、昼食後の休憩時間や午後の体育の時間に発生することがあります。
原因食物も乳幼児期に見られる食物アレルギーの原因である鶏卵や牛乳は少なくなり、小麦や日本ソバ、甲殻類、魚類、果物、ナッツ類などが多くなります。
症状はアナフィラキシー症状ですが、原因食物の摂取だけ、または運動だけでは症状は見られませんから診断が難しい訳です。
アナフィラキシーはそれまで元気だった子どもに、急に生命の危険性が訪れる疾患ですから、予防が大切で、発症時には緊急かつ適切な取り扱いが求められます。
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アナフィラキシーの症状は、ふつう原因物質に接して30分以内に起こるとされます。接触直後に発生するものは症状が激しく生命の危険にさらされることになります。
症状は皮膚・粘膜、消化器、呼吸器、循環器、神経系など全身の臓器に出現します。
皮膚粘膜症状には皮膚、眼、口腔・咽頭・喉頭の症状が含まれます。この症状には、皮膚の発赤、かゆみ、じんましん、血管性浮腫、湿疹、結膜の充血・浮腫、目のかゆみ、流涙、まぶたの浮腫、口腔・口唇・舌の違和感や腫脹、のどの締め付けられる様な感じ、かすれ声、のどのかゆみやイガイガ感などがあります。
消化器症状としては腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、血便などがあります。 呼吸器症状には、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりから呼吸困難やせき、ゼーゼー言う呼吸音などが見られます。
循環器症状には頻脈、不整脈、血圧低下から徐脈、心拍停止までが見られます。
神経系の症状には活動性の変化から不安感や軽度の頭痛、さらに死の恐怖感から意識消失までが見られます。
全身症状としては多臓器の症状を認められ、頻脈、虚脱症状、意識障害、血圧低下などが見られるものはアナフィラキシーショックと考えられます。
もっとも軽いアナフィラキシーでは皮膚症状や消化器症状だけしか見られません。呼吸器や循環器症状が見られる場合は中等度以上のアナフィラキシーです。最重度のものがアナフィラキシーショックと呼ばれるもので、呼吸困難や循環不全に陥りますから、緊急の救急救命処置が行われなければ生命が危険となります。
食物摂取や薬剤投与、虫さされやペットの咬傷などの後にこのような症状が現れたときには速やかな対応が求められます。
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アレルギーの中でも症状の発現が急激で、生命に関わることがあるものをアナフィラキシーと呼びます。多くは食物摂取や原因に接触した後、短時間で症状が出現しますから診断および治療には迅速で適切な判断が求められます。今月はアナフィラキシーについて考えてみました。
アレルギーは異物が生体内に侵入したときに起こる抗原抗体反応です。中でも反応が短時間に起こるものを即時型アレルギーと言います。これがアナフィラキシーです。
異物が体内に侵入すると、体内に異物に対する抗体が産生されます。これが特異的IgE抗体と呼ばれるものです。このIgE抗体が免疫細胞である肥満細胞や好塩基細胞の表面にある受容体に付着します。
再び異物が侵入すると細胞表面で特異的IgEと異物が抗原抗体反応を起こし、肥満細胞や好塩基細胞からヒスタミンやロイコトリエンと言う様々な化学伝達物質が放出されます。
化学的伝達物質が全身の臓器に働くと、血管の拡張、血管壁の透過性亢進、気道平滑筋の収縮や浮腫などが起こります。その結果、発生する様々な症状がアナフィラキシーです。
アナフィラキシーの中で、循環血液量の減少、脈拍の微弱、血圧低下などをともなうものをアナフィラキシーショックと言います。気づくのが遅れたり処置が遅れたりすると生命に危険がおよぶことになります。
アナフィラキシーはハチによる虫刺されやハムスターによる咬傷、ペニシリンなどの薬剤投与などで発生することが知られています。虫刺されやペットの咬傷は何度も起こると危険性が増します。食物アレルギーではタマゴ、牛乳、日本そばなど様々なアレルギーを示す食物が知られています。
アナフィラキシーは原因物質を知って予防することが大切です。
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けいれんが長く止まらない状態をけいれん重積症と言います。けいれん重積症はできるだけ早く治療する必要があります。それはけいれんの持続時間が長いほど、生命の危険性や神経学的に後遺症を残す可能性が高くなるからです。
典型的な熱性けいれんでは発作は普通5分以内に止まります。したがって私たち小児科医が実際にけいれんを見ることはあまり多くありません。救急車で受診する人でもほとんどは来院時にけいれんが止まっています。
しかし救急車で来院したときにもけいれんが持続しているような場合には15~20分以上けいれんが続いている可能性があります。このような自然に止まらないけいれんには何か重大な疾患が隠れていることがあります。
けいれんが起こると呼吸が抑制されますが短時間のけいれんでは脳が酸素不足に陥ることはありません。けいれんが長く続くと、全身の酸素不足や二酸化炭素の蓄積が生じて、血液の酸塩基平衡が崩れます。また脳浮腫が発生し二次的な脳障害の原因になります。
けいれん重積症の場合には、けいれんを止める薬剤に加えて、酸素投与や人工呼吸、輸液による酸塩基平衡の補正などが必要となります。
初めての熱性けいれんでも時に重積症になることがあります。このような持続時間の長い熱性けいれんの中には基礎疾患や重篤な中枢神経系感染症が隠れている場合があります。
けいれん重積症に高熱、意識障害をともなう場合には脳炎・脳症や化膿性髄膜炎などの中枢神経系の重症感染症を考え、検査・治療を進めます。中にはヘルペス脳炎や化膿性髄膜炎などのように、早期に診断をつけて適切な治療を開始すれば治癒可能な疾患もあります。
けいれん重積症には重大な疾患が隠れている場合があります。まずけいれんを止めること、基礎疾患の正確な診断をつけることが大切です。